開発ストーリー1(超音波噴霧器編)

空間除菌との出会い

2007年に鳥インフルエンザの発症と共にある会社から、ひな鳥のインフルエンザ感染を予防するための空間除菌の装置を作るので、その制御部分を開発してくれないかという依頼が舞い込みました。

当時から、白物家電製品の組み込み制御開発を行っていた弊社は、自分たちの技術が世の中の役に立てるのならばと新しい開発にチャレンジすることにしましたが、この開発は、とても大変な苦労の連続でした。家電製品の開発は、メーカーが仕様を決めて、自分達は、その決められた仕様に沿って開発を行います。それでも、気をゆるめることができない仕事になるのですが、手がけたことのない世の中にない製品の制御開発に取り組むことは、至難の業ではありませんでした。基板の設計やそれに伴う部品の調達そして、制御プログラムの開発。。。しかも、当初は、制御だけということだったのが、霧化の重要部品である振動子の研究にまで関わることになり、当時は大手の会社の開発者の方のご協力を仰ぐなどして、やっとのことで完成し、10台ほどの霧化器用の制御装置を納品させていただくことができました。

ただ、納品後、ある出来事があって、空間除菌の世界とは無縁の時が流れることになりました。

空間除菌との再会

その後の霧化器・噴霧器の市場は、海外製の加湿器を使用して空間除菌を行うものが多く、日本製と謳われているものでも筐体は海外製で、開発、組み立てや検査は日本で行われているものなどがありました。2015年(平成27年)に今度は、霧化器そのものを製造してくれないかという話が舞い込みました。

今度は、プログラム制御の開発だけでなく、筐体からすべて日本製で。という話でした。ある出来事があったために、この世界とは縁のない時間を過ごしていたのにまたもやチャレンジをすることになりました。

筐体のデザイン、金型の製作、弊社の霧化器の肝である細かい霧を出すための振動子との出会い、部品調達や組み立て工程での苦労。失敗や不具合の連続もありながら、しかし、いろいろな関係各社のご縁により、霧化器の製造にこぎづけました。現在は、霧化器だけでなく、除菌・消臭専用水(次亜塩素酸水溶液)を製造する機械の製造や、除菌・消臭システムの提案などを行ってきております。

2017年(平成29年)4月。耳を疑うような話が飛び込んできました。「東京のビル街に動物園を作るので、そこに除菌消臭用の噴霧器を設置してほしい」しかも「7月にはプレオープン」とのこと。東京の大手町牧場です。次亜塩素酸水溶液の生成装置から噴霧器へ自動的に液剤を送り込み、細かい霧を発生させるシステムを設置いたしました。(クリーンフォグシステム)コロナ禍もあってか、現在は閉業されてしまいましたが、都会のオアシスとしてたくさんの方の来場がある中、除菌は元より消臭の効果は大変評価していただきました。

少しずつではありますが、霧化器は家庭・オフィス用、工場・施設用などでご使用いただき、次亜塩素酸水溶液の生成装置は、食品会社様やオフィス内の牧場、薬品会社様への供給にご使用いただいております。

細かい霧については「濡れない霧」として微細な霧を大量に発生させるという特許を取得しており、空間噴霧だけなく消臭の用途にも活用できると考えております。

安心安全な空間を目指して

日本は清潔な国ではありますが、感染症を防ぐ対策はやはり必要とされています。特に2018年(平成30年)6月に食品の製造・加工・調理・販売などを行う全事業者に対してHACCPを義務化する『改正食品衛生法案』が衆議院にて可決され、今後は食に関係のある事業者は、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求められるようになってきました。

このように食の空間の安全にもテーマを向けようとしていた矢先、私たちは未曽有の状況に直面することとなりました。新型コロナウイルスの発現です。

これにより弊社の噴霧器もようやく活躍の場をいただけましたが、2020年(令和2年)6月に厚労省およびNITEの発表を受けて、噴霧を控えるように通達が出ております。弊社としては、感染対策、附着菌対策、エアロゾル対策に空間噴霧は有効であると信じて疑わず、いまなお、開発を続けております。除菌・消臭対策、さらに、その他の分野でも多くの方々にとって、安心安全な空間を提供できるように除菌・消臭噴霧器や、システムの開発を続けてまいります。

弊社代表の夢

日本だけでなく、求められるところであれば、空間除菌消臭システムを提供していきたいと考えております。まだまだ、発展途上の地もありますので、システムを取り巻く環境の整備などの課題はありますが、海外の僻地での野外病院での治療などで、弊社の空間除菌システムが衛生管理にお役に立てれば。。と夢見ております。

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